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2002/05/14 キラキラ。

郵便屋さんがポストに手紙を入れた音がした。

嬉しくなってワクワクして外に飛び出す。


ふと・・足が止まった。


ふわ〜〜っと風にのってきた、その香りは
懐かしくて例えようもないような甘い香り。
ポストの事も忘れ、向かったその場所には

甘い香りと
木漏れ日がキラキラと溢れていた。
真っ白な花が咲き乱れて、たくさんの葉が空を埋め、
時が止まったような別の空間。
花びらが黄色く染まり、しだいに枯れていく花も綺麗で、
ひらひらと散る花びらにも思わず心を奪われる。
毎年毎年、
物心ついた初めての春から
ずっと見てきたその景色は
秋にはキウイフルーツを
沢山実らせた景色に変わる。
もう何度も何度も見てきた景色。

それでもこの景色と香りには慣れる事が
出来なくて、目にするたんびに息をのんでしまう。

全ての花が散って、葉だけになる暑い夏もここは涼しい風が低くすり抜けて
葉がザワザワと波のような音を立てる別空間のまま。
子供の頃はハンモックを吊して、よくお昼寝をしたなぁ・・。

頬を撫でる優しい風も
遠くで響くセミの鳴き声も
お茶を苅る機械の音が周りの山々から聞こえるのも

秋が来ても、冬が来ても
大人になっても、遠く離れた場所に住んでも忘れる事はなかった。

いつもキラキラと輝いている特別な場所。