2002/12/01  冬支度。
玄関の脇にいる狸がある日、紅葉狩りをしているのを発見した。

「あんた、これ見んと冬は迎えられんよ。」

気付いていなかった訳ではないけど・・。

足を止めて見てみると
見ずにいたのが申し訳ないくらいの紅葉ぶりだった。


愛でるべき秋がもうすぐ終わろうとしている。
小学生の頃、あまりに赤く熟した柿を見付けたので、必死で背伸びして取り(笑)
ひいおばあちゃんにあげた。
・・・が、しかし
それは渋柿だった・・・。

当時90歳を越えようとしていた、ひいおばあちゃんは
笑って、少し震える手で少しずつ渋柿の皮を剥き、ヘタの所に糸を巻き、干し柿の作り方を教えてくれた。
これも昔の冬支度。

ひいおばあちゃんはもう居ないけど、
その時の柿の木はまた今年もこうやって、さも美味しそうな色に色付いた渋柿を実らせる。
踏みしめた地面から、降り積もった落ち葉の乾いた音がする。
見上げた花見月の真っ赤な葉も日に日に残り少なくなっていく。

一見裸の寂しい木々にも細い枝の先には、既に固く小さな蕾があって、
覆い茂っていた葉を全て落として、花を咲かせる為の栄養に変える。

真上を行く雲がもう冬の雲に変わっている。
・・私の冬支度には何があったっけ?

結局、防寒家電しか思い浮かばなかった・・・。
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